本気の経済対策とは何だろうか?そこには、当面の救済と中期的な対策の両輪が必要である。
 先ずは打撃を被った企業と個人に対する当面の支援である。たとえば、個人に向けては、アメリカやイギリスで行ったように、一定の所得までの世帯に対して一律の給付をすることによって当面の生活費の援助をする。たとえば、貯蓄などしている余裕のない層も多いはずの年収800万円以下の世帯には一律20万円、さらに子ども一人に対しは5万円の支給をするとしたらどうだろう。公共料金は一時支払いを猶予。家賃や学費に関しては無利子の貸与をする。これで当面の生活を支えることができる。しかし、これに加えて抜本的な経済のテコ入れがどうしても必要だ。

新型コロナウィルス問題が起きる前から日本経済は重篤な状態になっていた。2019年10月に消費税の増税をしたために個人消費に加え住宅や設備投資も壊滅的になり、それに伴い経済の失速が明白になったのだ。内閣府の発表によると、2019年10ー12月期のGDP(国内総生産)は年率換算でー7.1%と2019年に入り落ち込んでいた経済を完全にノックアウト状態だった。さらに、3月26日にまとめられた月例経済報告ではその景況判断から6年9ヶ月続いて記されていた「回復」の表現が削られ、「急速に厳しくなっている」と変更された。事態はさらに悪化しているのだ。

 すでにマイナス金利まで導入している日本には金融政策で景気を大きく転換させる余地はない。そこで浮上しているのが、すでに一部野党が提唱してきた消費税減税だ。少なくとも一時的にでも消費税を減税したらどうかという案である。これは間違いなく消費を喚起する。耐久消費財の買い替え、住宅の建て替えなども促進し、景気を大きく転換させることは間違いない。今の日本経済はGDPの6割を占める個人消費に冷や水をかけることばかりしている。日本経済は中国やアメリカの景気頼りとなっている。もう一度、日本経済の主軸のひとつとして個人消費にスポットを当てたらどうかということだ。これは自民党の一部若手議員からも声が上がっているのだが、政権中枢には評判が良くない。事務作業が大変で、時間がかかり、一度下げると戻すことがしにくいという。しかし、それこそ、貯蓄を崩してでもお金を使った人が得をする経済のシステムに大胆に転換することは検討されてしかるべきではないだろうか?

 買い渋りを防ぐ、メリハリの効いた消費税対策

しかし、私はここで敢えてもう一言、付け加えさせていただきたい。先日のメディアで与党議員が消費税減税に反対する理由の一つとしてあげたのが消費税を下げると発表してから減税まで買い渋りが起きるということだ。確かにその通りである。しかし、買い渋りの影響が少ないものもある。それは日々の生活に必要な食品や日用品などである。3ヶ月後に消費税が下がるからと米やパンを買わないわけには行かないのである。買い渋りは主に不要不急な商品に対して起こる。今すぐでなくても大丈夫だからだ。その買い渋りを防ぐもう一つの方法が消費税を変更することで可能だ。それは、反対に消費税をあげると宣言することだ。すると逆に駆け込み需要が起きる。日本の経済格差は先進国の中でも特に深刻だ。それを是正し落ち込んだ消費も活性化するために減税だけでなく、メリハリのついた消費税政策を行うことを提唱したい。

この連載の初回でも論じたように今の消費税はおかしなことばかりなのだ。例えば、食品、公共料金、医薬品、教育費、バスや電車などの近距離の公共交通に関しては税率をゼロかそれに近いものにする。これは生活に欠かせないものばかりだからだ。そのほかは時限的に消費税を5%に減税する。ただし、それこそ不要不急の贅沢品。たとえば50万円以上の宝飾品、欧米ブランド品、1回2万円以上の外食費や宿泊費、500万円以上の高級車、20万円以上の衣料、食品でも高級食材、1本2万円以上のワインなどは、税率を欧州並みの20%まで段階的に引き上げるのだ。税率が上がるとなれば駆け込み需要も喚起できる。こうしたメリハリのついた消費税に変更したらどうだろう? これは今の消費税が導入される前の昭和という日本にあった物品税の考え方を復活させるものでもある。

                                                                                                                           佐藤治彦 




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