ロシア、北方領土でまたいいがかり、「2島返還」の″妖怪″と決別の時だ

  本来の方針に立ち返るとき

 日本側はなお、2島返還に未練を捨てていないようだ。安倍首相は、2020年1月の通常国会での施政方針演説で、「1956年の日ソ共同宣言を基礎として交渉を継続させ……」と述べ、2月7日の北方領土日の式典でも同様の認識を示している。  国後、択捉、歯舞、色丹の北方4島は、江戸時代にすでに松前藩が統治していた事実、当時の地図はじめ古文書、1855年の日魯通好条約における国境線、1875年の千島樺太交換条約などに照らして、過去一度として他国の領土になったことがない日本固有の領土であることは議論の余地はない。  ロシアは2次大戦末期、有効だった日ソ中立条約を破棄して旧満州に侵攻したことはよくしられている。日本降伏後の8月26日から9月5日までの間に、ドサクサにまぎれて北方4島のすべてを占領、今日まで不法占拠が続いている。これが北方領土問題の、いわば起源だ。  安倍政権が「2島返還」をめざすのは、現実的な解決方法を探ろうという試みであり、理解できないことはない。しかし、「70年間、状況が変わらなかった」という首相の言葉とは裏腹に、日本がかたくななロシア相手に苦心の末に「東京宣言」などにこぎつけてきたのだから、それを考えれば、安易な妥協などできないはずだ。「主権」という国家の基本を自ら放棄することにつながる。首相発言は過去の努力を全く無視した暴言というほかはない。  「不法に占拠しても、居座っていれば日本はいずれあきらめる」という誤ったメッセージを各国に送ることになり、尖閣諸島や竹島をめぐる問題にも悪影響を与えるのは明らかだ。  今こそ「2島返還」という妖怪と決別して、4島返還を堂々と主張する本来の政策に立ち返るときだろう。 

                                   樫山幸夫 (元産經新聞論説委員長)

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